タヌキは実在の動物です! ズーラシアで日本固有の動物に会おう

横浜市にある「よこはま動物園 ズーラシア」は1999年4月に開園した、日本最大級の動物園です。園内は動物たちの生息地や気候帯ごとに8つのゾーンに分けられ、100種を越える動物が45.3ヘクタールの敷地で暮らしています。
今回ご紹介するのは、8つのゾーンのうちの一つである『日本の山里』です。その中でも、インターネット上で大人気となったタヌキを中心に見どころをお伝えします。
『日本の山里』ってどんな場所?
ズーラシアにある『日本の山里』ゾーンは、日本の山や人が手を加えた山林をイメージしたゾーンで、日本では古くからなじみのある動物たちが飼育・展示されています。
今回の主役であるタヌキのほか、ニホンザルやホンドギツネ、ニホンアナグマなど9種の動物を見ることができます。

Snow monkey として知られるニホンザル。タイミングによっては小さな赤ちゃんの姿も見られるかもしれません。

こちらはホンドギツネ。タヌキ同様に昔話などに登場する、日本人にはなじみの深い動物です。

タヌキのお隣の展示場で暮らすニホンアナグマは、日中は穴の中で過ごすことも多いですが、時折こうして姿を見せてくれます。
それぞれの展示場が動物たちのもともとの生息環境を再現するようにデザインされていて、動物園にいながら野生の姿を見ているような気分になれる場所です。
その分、動物が見えにくくなってしまうこともありますが、訪れる時間帯を調整したり、辛抱強く待っていれば、きっとその姿を見せてくれるでしょう。
人間のすぐそばに暮らすタヌキたち

さて、いよいよタヌキの登場です。
ズーラシアで飼育されているタヌキは、正確にはホンドタヌキと言い、日本の本州、四国、九州に生息しているタヌキです。
外国、特に欧米ではなじみの薄い動物であることから、「かわいい!」といった声や「実在する動物だったんだ!」といった声が飛び交うなど、SNSなどでちょっとした話題になっていました。
アライグマと混同されることもありますが、タヌキはイヌ科、アライグマはアライグマ科とまったく別の動物です。違いが分からない人は、しっぽに注目してください。アライグマのしっぽはシマシマですが、タヌキのしっぽには模様がありません。

日本では昔話や童謡などにもよく登場するため、小さな子どもでも知っているほどなじみがあり、とても身近に感じられる動物です。
実際に人間の近くに暮らしている動物で、生活圏内で野生のタヌキを見かけることもそこまで珍しいことではありません。
その証拠にズーラシアで飼われている2頭のタヌキ、『マル』と『ダンダン』は神奈川県内で交通事故に遭い、動物園で保護されたタヌキたちなんです。

保護された動物は、回復後に野生に戻されることが多いですが、この2頭は野生で生きていくのが難しくなる後遺症を負ってしまったため、動物園で新たな人生を送ることとなったわけです。
ズーラシアでじっくりタヌキを観察するには

そんな2頭のオスは、毎日展示場に登場します。2頭一緒に出てくるわけではなく、お昼ごろを目安に入れ替えで1頭ずつを見ることができます。
彼らはゾウやキリンのように大きいわけでも、開けた場所にいるわけでもありません。見えない場所に隠れてしまったり、昼寝に勤しんでいることも少なくありません。動いているタヌキを最も確実に見る方法は、朝一番に見に行くこと。あるいは、15時過ぎの夕方も比較的活発に動くことが多いので、オススメの時間帯です。

また、入れ替えのタイミングも確実に動くタヌキを目にすることができます。ただ、入れ替えの時間はその日の状況によっても変わりますので、運に左右されるかもしれません。
実際、この記事に載っている写真はすべて朝と入れ替え直後に撮影されたものです。

そうそう、写真と言えば、この記事のタヌキたちは夏に撮影されたものです。タヌキは季節によって毛の長さや太さが変わります。10月くらいから長く太い冬毛が生え始め、寒い冬を越えた5月中旬くらいから、暑い季節に向けてスッキリした姿に変わっていきます。
もしチャンスがあれば、夏場のスマートな姿と冬場のモコモコした可愛らしさの両方を見比べてほしいところです。
ズーラシアで暮らす2頭は、蒸したサツマイモやニンジン、リンゴに馬肉、さらにはドッグフードなどをエサとして与えられています。イヌ科の動物ですが雑食性が高く、肉から野菜までなんでも食べるようです。
朝一で展示場に足を運ぶと、もしかしたら彼らの食事風景を見ることができるかもしれません。毎日行っているわけではありませんが、エサを狙うカラスがいないなどの条件が整えば、ガラス越しにすぐ近くで彼らを観察できるチャンスが訪れます。運次第とはなってしまいますが、やはり朝一にタヌキの展示場を訪れる価値はありそうですね。
タヌキは実在の動物です!
日本やアジアの人にとっては身近な野生動物たちも、欧米の人には見たことのない不思議な生き物に見えるかもしれません。日本の動物たちを観察するのも、旅行の楽しみ方の一つかもしれませんね。
映画やマンガでしかタヌキを見たことのない人は、ぜひともズーラシアで本物のタヌキに出会ってください。そうすれば、タヌキが実在の動物だと信じられますよ!?