【関東編】一度は訪れたい日本の紅葉スポット

関東の紅葉スポットは有名観光地が多く、さまざまなアクティビティや温泉との組み合わせが楽しめます。遊歩道や公園設備が充実し、ライトアップイベントも多く見られます。平野部はイチョウが目に付きます。水分を多く含むために防火目的で植栽される場合が多い木ですが、秋のイチョウ並木は優美で艶やかです(上の写真は日光)。
【日光】錦秋の日光で趣の異なる絶景を巡る

【例年の紅葉時期:10月上旬~11月下旬】
いくつもの見応えある紅葉スポットが点在する日光。紅葉は奥日光の小田代原と戦場ヶ原の草紅葉から始まり、中禅寺湖や世界遺産の古社名刹へと降りていきます。日光は標高差が大きく、奥日光の10月上旬から日光の社寺周辺の11月下旬まで、紅葉は約2ヶ月の間楽しめます。標高1269mにある中禅寺湖では、カエデやブナ、ウルシなどが湖畔を赤や黄色に美しく染め上げます。雄大にそびえる男体山を背景に、湖面も紅葉を映して錦に染まります。遊覧船に乗って湖上から望む秋の絶景も格別です。その中禅寺湖の水が流れ落ちる華厳の滝や、中禅寺湖と日光市街を結ぶいろは坂も人気の紅葉スポット。第二いろは坂の途中にある明智平ロープウェイに乗れば、男体山と中禅寺湖、華厳滝の大パノラマを眼下に一望できます。11月には日光の社寺がライトアップされ、日中とは異なる幻想的な夜の紅葉を観賞できます。
【筑波山】紅葉の彼方に関東平野のパノラマが広がる

【例年の紅葉時期:10月下旬~11月下旬】
関東平野にそびえるため、どこからもよく見え、山頂からの眺めもいい筑波山。古くから人々に愛され、『万葉集』には25首もの長歌・短歌が詠まれています。標高877mの女体山と標高871mの男体山の2つの峰からなり、それぞれケーブルカーとロープウェイで山頂付近まで気軽にアクセスできます。2つの峰の山頂は約850mの遊歩道で結ばれ、周辺は関東では珍しいブナ林が茂ります。そのブナ林をはじめ、山腹にかけてイロハモミジやミズナラ、マユミ、ウルシなどの多種多様な樹木が茂り、色彩豊かな紅葉が広がります。毎年紅葉の見頃に合わせてケーブルカーの夜間運行とライトアップが開催され、山麓の宮脇駅と沿線に多く見られるモミジが、照明に美しく浮かび上がります。山頂駅の展望台から見下ろす関東平野の夜景も感動的です。
【長瀞】川下りを楽しみながら優雅な紅葉見物を満喫

【例年の紅葉時期:11月上旬~11月下旬】
荒川上流部の渓谷を中心に、豊かな自然が広がる長瀞。国指定名勝および天然記念物の「岩畳」や「秩父赤壁」などの独特の奇観が見られ、地下深くの結晶片岩等が露出していることから「日本地質学発祥の地」ともいわれています。「岩畳」周辺の荒川は水がよどんで青く輝く“瀞場”となり、舟下りやラフティングなどのアクティビティが盛んです。秋は河畔の奇岩とモミジやナラ、クヌギなどの紅葉のコントラストがすばらしく、川を下る舟からの紅葉見物は日本情緒豊かです。紅葉のビューポイントは「岩畳」周辺と、モミジを中心にさまざまな広葉樹が色とりどりに色付く「月の石もみじ公園」がおすすめ。例年11月には「長瀞紅葉まつり」が開催され、紅に染まる夜の「月の石もみじ公園」が華やかにライトアップされます。
【わたらせ渓谷】トロッコに揺られて紅葉と渓谷美を堪能

【例年の紅葉時期:10月下旬~11月下旬】
赤城山の東側の山あいで、風光明媚な渓谷を形成しながら流れる渡良瀬川。群馬県の大間々駅近くには「関東の耶馬渓」とも称される高津戸峡があり、峡谷に架かる橋の上から奇岩が連なる渓谷と極彩色に染まる山肌の紅葉のダイナミックな風景が楽しめます。さらに渓谷沿いには群馬県の桐生駅から栃木県の間藤駅まで、わたらせ渓谷鐡道のレトロなトロッコ列車がのんびりと走ります。窓ガラスのないオープンタイプのトロッコ列車は渓谷の自然を肌で感じることができ、渓谷と紅葉の風景を眺めながらのローカル線の旅が楽しめます。栃木県の通洞駅から足尾駅にかけての沿線では、かつて足尾銅山で栄えた足尾の町の風景を望めます。色付く山々に囲まれた町には廃墟となった鉱山施設や鉱山住宅が今も残り、郷愁誘う秋の風景が心に残ります。また、坑道跡を利用した「足尾銅山観光」では、360余年続いた銅山の往時を偲べます。
【那須高原】那須連山の雄大な紅葉と温泉街の古木に感動!

【例年の紅葉時期:10月上旬~10月下旬】
皇室の方々も静養する“ロイヤルリゾート”の那須高原。噴煙たなびく那須連山の主峰・茶臼岳を背景に、見渡す限りの深い森が山麓に広がります。茶臼岳はモミジやナナカマド、ダケカンバ、ドウダンツツジなどの落葉樹にクマザサ、ハイマツの針葉樹が混生し、赤や黄色と緑が美しいコントラストを見せます。茶臼岳の9合目までロープウェイが運行し、紅葉を眼下にする空中散歩が楽しめます。山腹の紅葉が終わる10月中旬以降は麓の温泉街に紅葉が降りてきます。那須与一ゆかりの那須温泉神社や九尾の狐伝説が残る殺生石周辺は、人気の紅葉&パワースポット。那須温泉神社の樹齢800年の御神木、大樹ミズナラの存在感は圧倒的です。
【国営昭和記念公園】イチョウ並木の黄葉のトンネルを散策

【例年の紅葉時期:11月上旬~12月上旬】
昭和記念公園は昭和天皇御在位50年を記念して造られた国営公園。多彩な施設が広大な敷地に点在する、首都圏最大のレジャースポットです。秋の園内はイチョウの黄葉が主役となります。立川口からすぐのカナール(運河)の両脇には106本のイチョウ並木があり、うんどう広場も横にも98本のイチョウ並木が整然と並びます。園内ではイチョウ以外にもカエデやサクラ、ケヤキなどが随所で紅葉し、芝生の上に積もった落葉の彩り豊かな絨毯も見られます。日本庭園の赤と黄色のモミジやドウダンツツジも風情たっぷり。美しく整えられたシンメトリーな紅葉風景は、原生林の紅葉にはない計算されつくした美しさを感じさせます。
【高尾山】手つかずの自然林が山全体を染め上げる

【例年の紅葉時期:11月中旬~11月下旬】
都心から日帰りで気軽に山歩きが楽しめる、標高599mの高尾山。古くから霊山として保護されたために自然林が残り、多種多様な植生がカラフルな秋の風景をつくります。オオモミジやイロハモミジ、ブナ、ヤマウルシなどが鮮やかに紅葉し、なかでも山頂近くのもみじ台周辺のモミジの群落は格別の美しさ。麓の清滝駅から標高472mの高尾駅を結ぶケーブルカーの沿線も、イロハモミジやオオモミジ、カジカエデなどが紅葉して彩り豊かなトンネルとなります。高尾駅近くの展望台からは、関東平野を見渡す雄大なパノラマが望めます。中腹に建つ天狗信仰で知られる古刹、薬王院周辺も見応えある紅葉スポット。四天王門や天狗の石像、極彩色の権現堂などの伽藍に、色とりどりの紅葉が鮮やかに映えます。毎年11月には「高尾山もみじまつり」が開催され、多彩なイベントが訪れる人を迎えます。
(Photo Aflo)