【東京茶寮】世界初!? ハンドドリップで淹れた日本茶を飲み比べ

日本のお茶、と聞くと抹茶を想像する人もたくさんいるのでは? 抹茶を観光地で目にしたり、実際に味わう機会もあるでしょう。
でも、日常的に抹茶を飲んでいる日本人は決して多くありません。日本人にとっても抹茶はちょっと特別なお茶というイメージがあります。
では、日本人は普段どんなお茶を飲んでいるか。
それは「煎茶」と言われるお茶です。この、極めて庶民的で日本の日常に溶け込んでいる煎茶を楽しめるカフェが東京都の三軒茶屋にある『東京茶寮』です。
煎茶ってどんなお茶?

煎茶とは、お茶っ葉を煎じたお茶という意味で、かつてはお湯で茶葉を煮出していたことに由来します。現在では、乾燥した茶葉を急須に入れ、ポットからお湯をそそぐだけで手軽に飲むことができます。そのため、日本では最も一般的なお茶で、単に「お茶」と言えば煎茶を指すことが多いでしょう。
煎茶用のお茶っ葉は日光に当てて育てられ、収穫後に蒸して、揉みながら乾燥させて作られています。
一方の抹茶は、同じ茶の木から取られますが、収穫前の数週間は日光に当てないように栽培されます。収穫後には煎茶同様に蒸してから乾燥させますが、このときに「揉む」という作業が入りません。こうしてできあがる「碾茶」を粉末にして入れられるのが抹茶です。
また、「緑茶」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは煎茶や抹茶も含む不発酵茶の総称です。
日本でも珍しい! 煎茶の専門店

さて、今日は日本人には大変なじみの深い煎茶を楽しめるお店をご紹介します。三軒茶屋にある東京茶寮は、日本茶を気軽に楽しんで、その魅力を知ってもらおうと2017年1月にオープンしたお店です。

メニューは決して多くなく、煎茶を楽しめるのは「煎茶2種飲み比べ+お茶菓子」(1300円)と「煎茶1種+お茶菓子」(800円)のみ。
お店には日本各地のお茶所から厳選した33種類の茶葉があり、そのうちの8種が月替わりで提供されています。オススメは、8種の中から2種を選べる煎茶2種飲み比べ。2種類を2煎ずつ飲め、最後にはどちらか片方を玄米茶として出してくれるので、全部で5杯のお茶を楽しむことができます。

お茶は、専用のドリッパーを使い、世界初というハンドドリップで入れられます。ハンドドリップの場合、急須に比べて茶葉の横移動が抑えられるため雑味が出にくいんだそうです。
味や香りだけでなく、色も楽しむ

今回は「浅蒸しはるもえぎ」と「つゆひかり頴娃(えい)」という2種類をお願いしました。
はるもえぎは甘みの強い品種で、つゆひかりは旨味が強い品種です。また、浅蒸しはるもえぎは、蒸し時間の短い浅蒸し茶。一方のつゆひかりは、蒸し時間の長い深蒸し茶です。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、日本人でもそこまで知っている人は少ないのでご心配なく。分からないことはスタッフに尋ねれば、丁寧に教えてくれるでしょう。

品種も加工の仕方も違うので、煎茶を始めて飲む人でも「こんなに違いがあるんだ!」と気付けるはずです。浅蒸し茶(左)と深蒸し茶(右)は味わいも違いますが、見た目にもだいぶ違いがあります。
色の濃い方が深蒸し茶で、一口に煎茶と言っても、茶葉や加工の仕方でハッキリと違いが出るのが分かるのではないでしょうか。
こだわりが見える5杯のお茶

1煎目は70度で、2煎目は80度と煎じる温度が決められています。
さらに、1煎目と2煎目では味わいや特徴が変わるため、豊かな香りを楽しめる1煎目では足のないワイングラスのような丸みを帯びた湯のみを使い、切れを感じられる2煎目では外側に反った湯のみを使うというこだわりよう。

最後に出される玄米茶は、お茶っ葉に玄米を混ぜて煎じるお茶で、香ばしさが特徴の飲み方です。こちらも味わいが大きく変わるので、初めて飲む人はビックリするかもしれません。

お茶に付くお菓子も独特で、写真のドライフルーツの羊かんなど、和菓子をベースにした独創的なお菓子が食べられます。
デザイナーが作ったオシャレなお店

店内は純和風というわけではなく、とてもオシャレなカフェといったたたずまい。それもそのはずで、このお店を経営しているのはデザイン会社なのです。
お店の内装はもちろん、ドリッパーなどお茶を入れるための道具もすべてオリジナルのデザイン。パーツごとに日本各地の腕っこきの職人さんに作ってもらっているというから驚きです。
店内には9席しかないため、確実に入店したい人は事前に予約をするのがいいでしょう。予約用のウェブページは記事末のスポット情報に書いてありますので、そちらからアクセスしてください。
お茶をお土産にしよう! 銀座には物販店『煎茶堂東京』も

お店で飲んだお茶が気に入ったら、店内ではお持ち帰り用の茶葉も販売しているので、お土産にすることも可能です。

また、銀座には『煎茶堂東京』という物販店も構えていますから、そちらを訪ねてもOKです。煎茶堂東京では、お茶は色とりどりの茶筒に入れて販売されていて、見ているだけでもウキウキしてきます。
このカラフルな茶筒は、同店でも売られている透明急須と並び、グッドデザイン賞を受賞した商品となっています。
気軽だけど本格的な煎茶を楽しもう

東京茶寮では、お客さんの3割ほどが外国人とのことで、英語のメニューも用意されていますし、スタッフも英語でのコミュニケーションが可能だそうです。
煎茶堂東京にも外国語が堪能なスタッフがいますので、ご安心を。
日本旅行で和食を食べる旅行者は大勢いるでしょう。庶民的な料理を選ぶ人も少なくないはずです。でも、日本のお茶をゆっくりと味わうことってあまりないのでは?
東京茶寮で気軽でありつつ本格的な煎茶の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。