『ブラタモリ』の足跡をたどる(黒部ダム編/2017.10.7放映)
~黒部ダムはなぜ秘境につくられた?~

黒部ダムは着工から7年の歳月と1000万人の人手を要して、日本一深いV字峡谷といわれる黒部峡谷に建設されました。高さ日本一を誇る巨大アーチ式ダムの建設の裏側にはどんなヒストリーがあったのでしょうか。2017年10月7日放映「ブラタモリ」黒部ダム編にて巡ったスポットをご紹介していきます。
トロリーバス

道路の上の電線から取った電気で走る乗り物で、立山黒部アルペンルートでのみ運行している。運転席にあるメーターなどの機械は電車の機械となっているが、ハンドル操作はバスと一緒になっている。運転するには鉄道の免許が必要となるそう。
かつては全国で活躍していたが交通渋滞の原因となることから昭和40年代に姿を消した。扇沢駅から黒部ダムへ向かうこのトロリーバスは平成30年(2018年)11月で廃止されるそう。
関電トンネル(大町トンネル)
かつてダム工事のために掘られたトンネル。崖に作られた細い道では人間が通るのがやっとだったため、建設現場へ資材を運び入れるための全長5.4キロメートルほどあるこのトンネルを通す必要があった。このトンネルには岩盤が細かく砕けて砂のようになった柔らかい地層の「破砕帯」があり、崩れやすい上にそこに溜まっていた大量の地下水が溢れ出して作業が非常に苦しんだそう。
破砕帯に遭遇するまでは1日9メートル程度の進捗で掘っていたが、80メートルあると言われている破砕帯は突破するのに7ヶ月かかったそうだ。1日で平均すると約40センチメートルだが、まったく掘れない日もあったという。
破砕帯を突破するために総延長500メートルもの水抜きトンネルを掘るなどして長野側と富山側の両方から掘り進め、着工から1年7か月後にようやく貫通した。
黒部ダム駅

関西電力が運営する関電トンネルトロリーバスの終点駅。こちらの駅から黒部ダムへ行くことができる。黒部ダムへ行くルートは左右2つに分かれており、左の黒部ダムへ向かうルートは階段60段を下りた場所にダムのえん堤があり、ダムのえん堤から黒部ダムを眺めることができる。
右のルートは220段の階段を上った先にダム展望台があり、最も高い位置から黒部ダムを一望することができる。どちらのコースも外でつながっており行き来することができる。
破砕帯からの湧き水
黒部ダムへ行くルートの途中には破砕帯からの湧き水が飲める水飲み場があり、柄杓も置かれていて自由に喉を潤す事ができる。破砕帯とは岩盤が細かく砕けて砂のようになった柔らかい地層の事。黒部ダムの建設現場へ資材を運び入れるためにトンネルが作られたのだが、そのトンネル工事最大の難関だったという。
昭和61年(1986年)公開の映画「黒部の太陽」にもその恐ろしさが描かれいるが、崩れやすい上に大量の地下水が溢れ出し、作業員を苦しめた。また、水の余りの冷たさに手が悴み、1時間以上は作業出来なかったそう。ちなみにペットボトル入りで販売されている。
黒部ダム

秘境・黒部峡谷に築かれた巨大なダム。高さは186メートルと日本一の高さで、ビルで例えると62階建てに相当する。横幅はおよそ500メートルで、美しく伸びているアーチ形が特徴的。ダムに蓄えられている水の量は約2億トン。東京ドームでいうと約160杯分にもなるそう。水は全て水力発電用で、黒部ダムでは約10キロ下流にある発電所に水を送る方式で発電している。
ダムと発電所の落差は545メートルで、この大きな落差が黒部ダムを秘境につくった理由のひとつだ。また、黒部ダムは別名「黒部第四(くろよん)」とも呼ばれている。
黒部川の流域では元々豊富な水を活かした水力発電が盛んに行われていた。その上流に黒部ダムと黒部川第四発電所が完成した事により下流の発電所にも大量の水を安定して流す事が可能になり、発電量が大幅にアップした。今では黒部ダムの水を利用する発電所は10箇所にものぼっている。
情報提供:株式会社エム・データ
写真提供:富山県