歴史と伝統を体験できる【祭りの楽しみ方】

日本では各地にたくさんの「お祭り」の風習が残っています。これらのお祭りの起源には、多くの場合、五穀豊穣のへの感謝や祈り、神仏や祖先を敬う心が込められています。ちなみに日本は歴史的に、祭り=宗教と政治が一体だった時期があるため、今でも政治のことを「まつりごと」と呼ぶことがあります。
こうした宗教的な祭りが時を経て、かつてよりも庶民が親しみやすいものに変化してゆき、地元の人にとって大切な行事として残されているのが現代のお祭りです。こうした変化はとくに、庶民の文化が花開いたと言われる江戸時代(1603-1868)に起こったようです。
伝統的な祭り、京都の祇園祭

たとえば、京都にある八坂神社で行われる『祇園祭』は、日本を代表する祭りの一つとされていて、歴史の長さ、豪華さ、期間の長さ(毎年7月1日から31日まで1カ月にわたる)で広く知られています。このように大規模な祭りが行われている町の光景はふだんと様相が異なり、独特のオーラを放ちます。そうした非日常を味わおうと、日本国内だけではなく世界中からたくさんの人が集まるため、混雑も大変なもの。観覧には事前の計画と覚悟が必要です。早いうちから宿泊先を確保するのはもちろんのこと、夏の期間に行われる祭りでは、熱中症対策の水分補給を忘れないなどの注意も必要です。
現代的な祭り、札幌雪まつり

『祇園祭』のように、歴史に基づき、神社の祭礼として行われるお祭りのほか、現代になって生まれたイベントをお祭りと呼ぶケースもあります。たとえば、毎年2月初めに北海道札幌市内の会場で開催されている『さっぽり雪まつり』。雪で作った彫像の美しさを競うイベントとして多くの見物客を集める祭典で、こうしたものも広義のお祭りに含まれます。
お祭りが盛んな地域に生まれ育った人たちが祭りにかける情熱は計り知れないものがあり、どんなに忙しくとも、お祭りの時期だけは地元に戻るという人もたくさんいます。こうした行動からも、日本人にとってのお祭りの大切さを感じてもらえるかもしれません。
祭りは日本各地で開催されています
なお、それぞれの地域で催される小さなお祭りも一興です。場所としては神社の境内が使われることが多く、屋台で、水あめ、ポップコーンなどの軽い食事が売られたり、射的、くじ引き、金魚すくいと言われる、古くからある遊びで楽しみます。主に夕方から夜が盛り上がり、暗闇がオレンジの裸電球で照らされる様子に、子供時代を懐かしく思い出す日本人は多いはずです。入場料などはかからず、神社という場所を使いますが宗教も制限されません。こうしたお祭りは夏から秋に開催されることが多いので、この時期に日本を旅する人はぜひ気軽に覗いてみてください。
(Photo Aflo)