6月~7月に行くなら見ておきたい! 日本の初夏の花絶景
日本の花といえば春の桜が有名ですが、季節によってその時期だけのさまざまな花の風景が楽しめます。
本格的な夏を迎える前の6月には、日本やアジアが原産のエキゾチックな花々が見ごろを迎えます。この時期の日本は「梅雨」と呼ばれる雨のシーズンの真っただ中。東南アジアのスコールのような降り方ではなく、静かに、そのかわり1日中降り続くような雨が、6月から7月の半ばくらいまで続きます。旅行には不向きなシーズンとも思われがちですが、雨の季節にこそ似合う花々が、他のどんな季節よりも、しっとりとした日本らしさを感じさせてくれます。
一方、日本において唯一、「梅雨がない」と言われるのが北海道。高温多湿な関東の夏と比べると、カラリとして過ごしやすい気候が特徴です。狭い日本には珍しく、広大な大地が広がる北海道では、丘一面を覆いつくすようなラベンダーの花畑が有名。夏の北海道を旅するならこちらも一見の価値あり。
ここではそんな初夏の花絶景スポットから、一度は訪ねてみたい場所をご紹介します。
『尾瀬』のミズバショウ(群馬)
湿地帯に群生し、季節がくると一斉に地面から白くとがった姿を表すミズバショウ。本来は春、雪解けのころに咲きますが、標高の高い山岳地帯にある尾瀬では5月下旬から6月の上旬ごろに見ごろを迎えます。尾瀬は東京から北に約180km、群馬県、福島県、新潟県、栃木県の県境に位置し、2,000m級の山々に囲まれた国立公園。ミズバショウをはじめ湿原特有の植物や美しい風景が広がり、登山道や木道が整備されて歩きやすいこともあって、多くのハイカーに愛されています。
(写真提供:尾瀬保護財団)
『矢田寺』のアジサイ(奈良)
日本が原産のアジサイは、梅雨の時期に見ごろを迎える代表的な花。小雨が降る中、しっとりと雨に濡れている様子に多くの日本人が愛着を感じています。街角のあちこちに植えられていて、6月に入ると至るところで見ることができますが、全国に名所と呼ばれる場所があり、その中には神社やお寺も多いので、ぜひ訪れてみたいもの。アジサイ寺とも呼ばれる奈良の矢田寺では、「お地蔵さま」と呼ばれる小さな石仏と約10,000株のアジサイの共演で、梅雨どきの日本の魅力を存分に味わうことができます。
(写真提供:矢田寺)
『水元公園』のハナショウブ(東京)

ハナショウブはもともと日本の野山や湿地に自生する花でしたが、江戸時代(1603~1868年)の中期以降からさかんに栽培、改良されてきました。小合溜(江戸時代に造られた用水池)に沿って作られた水元公園は、約100品種14,000株が咲き競う、東京都内最大級のハナショウブの名所。6月には『菖蒲まつり』が開催され、ストリートフードの露店が出たり、週末にはカラオケ大会などのステージパフォーマンスが行われるなど、日本のお花見イベントの雰囲気が味わえます。
(写真提供:水元公園)
『ファーム富田』のラベンダー(北海道)

日本の最北端にある北海道は、夏も比較的涼しくて湿度が低く、ヨーロッパに近い気候が特徴。その気候を利用して始まったラベンダー栽培が、今では夏の北海道を代表する見どころとなっています。ファーム富田はそんなラベンダー観光のパイオニア。7月には、なだらかな丘を薄紫に染めるラベンダー畑の風景が楽しめるほか、紫、赤、白、ピンクとカラフルな花が咲きそろう『彩りの畑』など、写真に撮って残したくなる花畑がいっぱい。ラベンダーソフトクリームやラベンダーティーが味わえるカフェも魅力です。
(写真提供:ファーム富田)
『上野恩賜公園』のハス(東京)

7月~8月上旬に東京都心に滞在するなら、ぜひ訪ねてみたいのが恩賜上野公園内のハス池です。ハスは仏教の世界では極楽浄土に咲くとされ、仏像の台座などにもデザインされている花。都会のど真ん中でありながら、青々と生い茂ったハスの葉の間から大輪のピンクの花がのぞく様子には、どこか神秘的なムードが漂います。花は早朝開き、日が高くなると閉じてしまうので、早起きして行くのがおすすめ。上野は成田空港に向かう特急の始発駅なので、出国するその日の朝、最後の観光に訪れるのもよいでしょう。
(写真提供:上野恩賜公園)