レトロな日本の日常を体験できる ゲストハウス『toco.』

日本の社会は1950年代頃から急激な発展を遂げ、街並みも大きく様変わりしました。住宅の多くは現代的な建物に建て替わり、畳の部屋に襖や障子が使われた昔ながらの木造家屋はすっかり少なくなっています。しかし、こうした古民家を保存、活用しようとする動きもあり、その方法の一つとして、古民家を宿泊施設として提供するケースも出てきています。
『toco.』はこうした木造の古民家を利用したゲストハウス。上野や浅草からも近く、ゲストハウスや格安宿の多いエリアではありますが、伝統的な日本家屋に泊まれる宿は貴重です。ここでは、日本の生活体験に興味がある人にはぜひおすすめしたい、『toco.』の魅力をご紹介します。
木造建築ならではの味わい

客室のある母屋は築90年の木造家屋。急激に近代化する以前の、古い日本の生活を味わうことができます。時を経て深いツヤを放つ柱や、歩くと軽くきしむ木の廊下、窓枠の細い木組みなど、さまざまなディテールが日本ならではの生活文化を感じさせてくれます。庭に面して設けられた通路は、縁側とも呼ばれる日本家屋独特のスペース。庭を眺めながらゆったりとした時間を過ごすのもいいでしょう。建物が通りから少し奥まった場所にあるため、都会とは思えない静けさも魅力です。
宿泊スペースは2段ベッドのドミトリールーム

部屋は多くの人が違和感なく泊まれる2段ベッドのドミトリールームになっています。板張りに改装された床にベッドが並ぶ部屋ですが、木の窓枠や部屋の仕切りなど、日本家屋の雰囲気は十分に感じられます。
なんと富士山も!?四季折々の表情を見せる庭
人口密度の高い現代の東京では庭はかなりの贅沢品ですが、そんな庭が立派に残っているのも古民家ならでは。石灯篭や飛び石が配置された日本らしいデザインで、春は桜、秋は紅葉と四季折々の風情が楽しめます。庭の奥にある「富士塚」にもご注目。江戸と呼ばれていたころの東京には富士山を信仰する考え方があり、誰もが手軽に登ってご利益を受けられるようにと町民がお金を出し合って作ったのがこうした富士塚です。隣接する神社からは年に2日だけ頂上まで登ることができるので、日程が合えばぜひトライしてみてください!
バータイムには地元住民とも交流

母屋は通りから少し奥に入った場所にありますが、手前の建物は、日中は宿泊者のリビング、夜はバーとして使われています。コンクリートのビルかと思いきや、天井を見上げると太い木の梁が組まれたノスタルジックなつくり。バータイムは一般向けに営業されているので、旅行者同士はもちろん、お酒を飲みに訪れた地元の住民と交流することもできます。
リーズナブルに泊まれて楽しめる
日本風の生活や地元住民との交流など、さまざまな貴重な体験ができて、宿泊料金は1泊3000円~と手ごろなのはゲストハウスならでは。東京滞在の際にはゲストハウスを利用する人も多いと思いますが、その中の数日にこんな宿を選んでみるのはいかがでしょうか?